« 平日の夕食 | メイン | 現憲法はアメリカからの押しつけなのか? »

日本に軍隊は必要なのだろうか

 7/29の一語り「新聞が届く幸せ」で書いたように、新聞を取り始めたので毎日うれしくてよく読んでいたりするわけだが・・・
 今日の新聞の大見出しは、自民党の新憲法草案が出来上がったニュースだろう。

 目玉としては、憲法9条に「自衛軍」の概念を取り入れることであるようだ。今までは軍隊ではないけど、実質的な軍隊たる自衛隊を保持していたというあいまいな状況の打破を狙ったものなのだろう。

 結局改憲論議はそこに尽きるわけなのだが・・・そう、自衛隊を軍隊として正式に認定したい・・・そのための改憲論議と考えて差し支えないだろう。

 でも、なんだかなぁ・・・と感じざるを得ない。

 自衛隊という軍隊がある。これは、まぁ、朝鮮戦争時、日本を不沈空母として活用したかったアメリカの思惑が強く働いて創設されたもの記憶しているが、その戦争が終わった後も、存続し続けていて、発展していき、世界でも有数の軍隊と化している、既得権益的事実である。

 ただ、その既得権益的事実には相対する形で、現在の憲法9条のすばらしい概念として、2項に「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」という条文がある。

 その世界に類を見ない平和主義のすばらしい理念と既得権益的事実の現実の不整合を正そう・・・それが今回の自民党草案条文の意図であることは明白であろう。そう、自衛隊ではなく「自衛軍」としていることによく表れている。

 憲法という国の最高法規と現実の不整合を正そうということはいい。しかし、なぜそれが既得権益的事実たる軍隊を認める方向に憲法の方を変えていくということになるのだろうか。朝鮮戦争も終結し、東西冷戦も終結した今、その便宜上作られた軍隊である自衛隊をなくす、自衛隊の非軍隊化という形での、現憲法のすばらしい理念に沿うように現実を変えていくということにはどうしてならないのだろうか。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.webnikki.org/mov/mt-tb-ap.cgi/1153

この一覧は、次のエントリーを参照しています: 日本に軍隊は必要なのだろうか:

» 憲法9条 自民党案より現行のほうがよいですね from 三途の川の手前より2
●「自衛軍保持」を明記 自民党改憲草案1次案  自民党新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)は1日午後、党本部で首相経験者らによる幹部会合を開き、自衛と国際貢献のための「自衛軍保持」を柱とする党憲法改正草案の1次案を提示した。全10章98条からなり... [詳しくはこちら]

コメント

軍隊と言うのは必要です。
阪神大震災のような災害時というのは、戦争の攻撃を受けたときの損害状況と酷似しており、
他国がその様になった時に一番力になれるのが軍隊なんです。
軍隊が出せないとなると、政府が金出すか、政府とは関係無い団体が活動する事になりますが、そうなると活動の幅が大きく制限されます。
もっと理由はありますがコメントには書ききれません。ウェブで発言する以上、勉強してから公開しないとだめですよ。

軍隊出さなくても金だけ出せば良いじゃないか!と言うのは、
モテない男がおいしい食べ物と綺麗なホテルを予約するのにこれだけお金掛けただろ!と言っているようなものです。

侵略戦争はダメでも、自衛の為の戦争は当然と言う概念。これは反戦を唱える世界の国々の人も持つ概念です。

>侵略戦争はダメでも、自衛の為の戦争は当然と言う概念。これは反戦を唱える世界の国々の人も持つ概念です。

間違えました。「反戦を唱える世界の国々の人」→「反戦を唱える世界の国々の日本以外の人々」です

はじめまして。いつも楽しく拝見しております。

私は今の改憲論議は現代の社会情勢に法律の方を合わせようとするものだと
解釈しています。東西冷戦が終結したからといって今の日本を取り巻く情勢
はそれほど楽観視できる状況ではありません。中国や北朝鮮の外交姿勢はゴ
リ押しに近い(よく言えばしたたか)ものがあり、歯止めがなければ際限な
く自国の利益を主張してきます。今、その歯止めとなっているのがアメリカ
・・・もう少し言うと太平洋地域に展開する米軍の存在だと私は考えます。

もちろん戦争は決して起こしてはならない行為です。いわば外交上の最悪最
後の選択肢です。しかし軍隊を持たない国家が外交努力だけで自国民の生命、
財産を守れるでしょうか?在日米軍に守ってもらう?それにしたってイラク
で派兵もしない同盟国を果たして命を賭けて守る気になるでしょうか?

理想論を唱え続ければ、相手がそれに感化されて、ハッピーエンドになる。
そんなおとぎばなしのような結末は現実社会ではまず起こりません。アニメ
「宇宙戦艦ヤマト」においてはガミラス人の侵略に際してイスカンダル人は
平和主義を貫き、その運命を受け入れ静かに滅ぶことを選びました(スター
シア以外すべて死に絶えた)。これが絵空事なら美談で済まされますが、私
は日本の近隣にもデスラーは存在すると考えます。そして少なくとも私は妻
子や友人に危害を及ぶ事態を平和主義の名のもとに看過することはできませ
ん。

押し付けうんぬんよりも、主権国家として国民一人一人が冷静に今の憲法の
ありようを考えてみるべきでしょう。

私も軍隊は必要だと思います。
世界第二位の経済力を持ち、国連分担金もかなり出している日本が一国平和主義のままではすまないと思います。世界では紛争やテロが続き、中国や北朝鮮という難しい隣国を抱えている日本は丸腰の状態ではいられません。

私はいつも不思議でならないのは日本人は「平和、平和」と唱えていれば平和が来ると本当に思っているのか、ということです。平和を唱えていれば平和な世界が来るならこんなにたやすいことはありません。

憲法を拡大解釈するのではなく、改憲すべきところは改憲すべきだと思います。際限なく拡大解釈する方が危険だと思います。

もちろんアメリカ追随の自衛隊になってはいけないので、常任理事国になって発言力をきちんと持つべきだと思います。

みなさん、コメントありがとうございます。
あまり政治ネタを扱わないこの一語りにおいて政治ネタを扱うことがこんなにも反響を呼ぶとは意外でした(^-^)

お聞きしてもなお、平和主義の考え方を尊重する気持ちに変わりはないです。

自衛隊を「軍」として認めることは、軍部の暴走を招き多くの死を呼んだ忌まわしき戦前の過去に学んでいない行為としか思いようがないと思います。
軍部の暴走が立法府・政府を無力化し、破滅の戦争の原因になったことは、周知のことです。それを繰り返しては決してならないのは自明でしょう。

東西冷戦において核の抑止力が強調され軍拡路線に転じた米ソはやがてかぎりなく続く核の恐怖から来る軍拡の経済的負担に耐えかねて軍縮協議に至った経緯は記憶に新しいところです。抑止力としての軍事力は必ずや軍拡を招き、経済的・・もしかしたら、軍にはつきものの徴兵による人的負担により苦しむことになることが容易に想像できます。

韓国を旅した時、地元の人と話し、また、ネット上で韓国の人と話す時、やはり徴兵が韓国の人々に大きく負担となっていることが分かりました。
板門店に弟が行っていて心配だという話。また、徴兵逃れのために、金銭的に豊かな人たち、もしくは権力を持っている人たちが自分の息子のために徴兵逃れのためにいろいろなことをして大きな問題になっているということも。

誰も、軍隊に自分の身内を出すことは望んでいないでしょう。
しかして、自衛隊を軍として考えていく中には将来的には徴兵制度も視野に入っていることがおわかりですか?

軍隊というのは第一義的には「人殺し」のための手段です。それを認めず、永遠に放棄することを謳った現憲法は他に類を見ないものです。この条文があったために我々は平和を謳歌できてきたのは事実でしょう。

現憲法に沿った考え方での治安の維持は、軍隊ではなく文民としての警察力、陸では警察、臨海部では海上保安庁の強化において対応していくべきであるでしょう。アメリカの都合でできてしまった自衛隊(元々は警察予備隊から始まりました、文民警察の予備組織であったのが、肥大化したものです)を強化するのではなく、極論を言えば自衛隊を解体してでもそこにかかっていた予算を文民的警察力に回しての治安力強化であれば分からないでもありません。

東西冷戦において、抑止力としての核の保持が経済的圧迫を招き、また、その解体に莫大な費用を要していることから学ぶに、抑止力としての軍隊の保持はナンセンスであることは自明でしょう。

丸腰であることは最大の抑止力にもなるのです。平和主義を唱え丸腰でいる国にたいして先制攻撃を加えれば、国際世論を即座に敵に回すことになるからです。そのような国を攻撃できますでしょうか?

第一義的には「人殺し」の手段たる軍隊のあくまで副次的機能として災害時の復旧作業等はありますが、それが人的支援においても消防・警察等の文民的公権力によってできないことではないでしょうし、現憲法を尊重し、あくまで文民的手段での援助を考えていく方が第一でしょう。

既存の軍隊たる「自衛隊」があるからそれを認めましょうではなく、国是である現憲法に謳われている「平和主義」をなぜ訴えていかないのでしょうか?

国是に反した自衛隊派遣などの協力になんの意味がありましょうか。それよりは、自国の国是に沿った主張をするのが本筋でしょう。

私は、今日、広島原爆投下のあったこの日にこのように考えています。

TBありがとうございます。
わたしはあまりにも勉強不足なので大それたことは言えないのですが「戦争反対」です、これだけは言います。
自衛隊はいらない。あれはニッポンがどこかから攻められたときやっつけてやる、というものですよね。いくらボランティア活動しててもこの前イラク(でしたっけ)でぼかーんとやられちゃう。他の国ではニッポンは軍隊もっていると思われているんですよね。
確かにニッポンで災害があったときジエータイがヘリとか救援物資とかいろいろやってくださったけどあれはレスキューの範囲でしょ。つまりは災害からはジエータイじゃなくても大丈夫。
他の国(はっきり言うとアメリカ)が武器を持っているからニッポンもヤバイって思って軍隊作ろう、とか憲法変えよう、とか言ってるんですよね。
ニッポンは戦争の傷を知っている。だからこそ平和を謳うべき。

もちろん軍隊は持たない方がいいに決まっています。しかし今の世界状況を見て丸腰でいいと言い切ってしまうのはあまりにもナイーブではないでしょうか?

丸腰の国に先制攻撃を加える国はいない、と言われますが、世界状況はそんなに生易しいものではありません。日本は米国が日本に基地を置いているからこそ、また米国の核の傘に守られているからこそ、ほかの国が手出しできない、という現実を直視すべきでしょう。

自衛隊を軍と認めれば軍部が暴走するのでは、という考えは現在の日本人をあまりにも信用していない考えではないでしょうか?日本人は過去の経験に全く学ばないほど馬鹿な民族ではないと思います。

>日本人は過去の経験に全く学ばないほど馬鹿な民族ではないと思います。

人間は過去の経験に学ばない。
現在の周りの状況からしか学ばない。

>軍隊出さなくても金だけ出せば良いじゃないか!と言うのは、
>モテない男がおいしい食べ物と綺麗なホテルを予約するのにこれだけお金掛けただろ!と言っているようなものです。

自衛のために軍隊を持て!と口でいうのは簡単です。
電車内の痴漢を見た男が「車掌や駅員はなにやってんだ」と言ってるようなものです。
そんなに軍隊必要ならなんで自衛隊入らないの?まぁできないだろうけど。

初めまして!
今学校で『軍隊は必要か?』について
考えています…。
私はよく分からないのでこのHPを参考にさせてもらいました。
大体の事を掴めたのでよかったです。
でわさようなら

夏美さん、コメントありがとう。
ここの作者の大津です。
そうですか、ここが少しでもお役に立てたようでよかったです。
学校というと・・・高校とかですか?
で、夏美さんとしては「軍隊は必要か?」という問いにどのように考えましたか?そして、学校ではどのような意見が主流になりましたでしょうか?
また、お聞かせ頂けたらうれしいです(^-^)

はじめまして。「日本に軍隊が必要か?」コレを検索にかけたら見つけたので閲覧させてもらいました。
「日本に軍隊が必要か否か?」僕は法学部の一年生なのですが今日の演習の討論内容がまさにコレでした。
今回は司会でもレジュメ作りでも無かったので勿論、信念で反対派にまわりました。普段は「正社員とフリーター」等、大してどっちでも(よくはないですけど興味が薄いので;)いいから(意見するのが大変で可哀想だからw)少数派にまわるのですが今日は反対派が多数派だと思っていましたら、なんと「日本に軍隊は必要だ」という意見の方が多数派だったのに本当に驚きました。
最初は「意義・利点・定義」の質問から始まり「集団的自衛権の是非」最後に「非核三原則を破ってまで抑止力(軍事の強化)が必要なのか?」といった辺りで議論は時間になったので打ち切られました。「自衛隊は必要ない」と考えている自分にとって「双方とも自衛隊の必要性は認めている事を前提にそれ以上の《軍隊》が必要か?」との今日の議論で賛成派を論破できなかったのは本当に悔しかったので調べてみようと思い足を運んでみました。ゼミの先生が明らかにこっち(内心反対派)だった事は知っていたので質問をしてみたところ「お前はまだまだ甘いわな。うちの法学サークルに入ってるんならもっと論理的な意見をせい。丸裸で国が守れるか?そんな時はな、ガンジーの理念とかがあるんやで?調べてみい。予習できないのもあるけど君ぃ以外はそこまで意見は持ってないなかであれやで?勉強せや。しかし、アレやな。毎度この手の議論は僕等の時も今もやるけどちょっと前までは圧倒的に反対派が多いから先生は賛成派を応援せな議論にならなかったんやで。時代もかわるんやな。」実際、反対派は僕以外にも居たけど全く意見しない、とりあえず居るだけの連中が殆どで賛成派は逆に皆してよく意見する人達だったので向こう4,5人対1人でした。
このページを見て色々と考えさせられる部分(両方とも国の事を考えてる点とか)ありました。しかし、僕の「自衛隊は必要無い。軍隊で違憲だ」の考えに変わりはありませんし武力がなくても理想論でなく警察機関等で対処できるはずです。そうすれば友好的な外交も、そして現行憲法の目指す本来の国にも近づけると思います。コレって今ハヤリの愛国心にならないんですかねw
う、起き過ぎた。。。明日の総則までに起きれるかな;;勉強になりました、では

 kusi_hさん、ようこそ。ここの作者の かず です。
 真面目な法学部生さんのようですね(関西の方でしょうか(^-^))。すごくいい意識の持ち方だと思います。
 どうぞ、学びを深めて、平和主義の考え方を堅持していって頂きたいものです。
 とりあえず、まずは、「憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言」(岩波ブックレットNo.657)をオススメします!!

 よろしければメールなどでコンタクトをください。いろいろ語り合ってみたいと思いますので。

コメントを投稿